メスティンの使い方を調べているとシーズニングという言葉が出てきて「アルミ製なのにシーズニングが必要?」「具体的にどうやってシーズニングするの?」と疑問に思いますよね。
実はメスティンのシーズニングは必須ではありません。スキレットなどの鋳鉄製のものはシーズニングしないと錆びて使いものになりませんが、メスティンはアルミ製なので致命的な問題は起こらないんです。
ただ、シーズニングすることで焦げやアルミ臭、黒ずみを緩和できると言われています。焦げてしまってもゴシゴシ擦って落とせばいいのですが、シーズニングの効果があるならやっておくのもあり。だったら、やり方やリアルな効果を知って、シーズニングするかしないか決めるのが一番です。
この記事ではメスティンのシーズニングに関して、
・必要性
・簡単な方法
・比較して効果検証
・お手入れ方法
・シーズニングが不要になる加工
を解説します。
効果検証では「シーズニングをしたメスティン」と「シーズニングしていないメスティン」を使って比較検証しています。リアルな変化がわかるので注目ですよ!
この記事を読み終えていただければ、メスティンのシーズニングの必要性や効果を理解し、シーズニングを行うかの判断材料になります!ぜひ参考にしてくださいね。
アルミ製のメスティンはシーズニング必須ではありません。鋳鉄製のスキレットやダッチオーブンと比べ、アルミ製のメスティンはシーズニングしなくても、サビなどの致命的な問題は起こりませんし普通に使えます。
ただ、シーズニングは以下3つの効果を期待できるので、面倒でなければやっておくことを推奨します。
・焦げが剥がれやすくなる
・アルミの臭いが緩和される
・酸化による黒ずみを防止する
どのくらいの効果があるのかは3章で「シーズニングしたメスティン」と「シーズニングしていないメスティン」を比較して解説していますので、それを読んだうえで必要だと思えたらシーズニングしてみてください。
最近はいろんなメーカーからメスティンが販売されており、なかにはアルマイト加工が施された商品も。
〈アルマイト加工されたメスティン一例〉
・MiliCamp(ミリキャンプ):メスティン 飯盒 MR-250 Pro
・ダイソー:メスティン(ハンドル付き)
〈アルマイト加工されていないメスティン一例〉
・Trangia(トランギア):メスティンTR-210
・山善キャンパーズコレクション:メスティン MESS-1
アルマイト加工とは簡単にいうとアルミの表面に酸化皮膜という薄い膜をまとわせる加工です。焦げが剥がれやすくなったり、アルミ臭が緩和されたり、酸化による黒ずみを抑えられます。この効果ってシーズニングと一緒ですよね。
実はメスティンのシーズニングでもこの酸化皮膜をまとわせています。つまり、アルマイト加工済みのメスティンは、すでに酸化皮膜がある状態なので、基本的にシーズニングの必要はありません。まずは自分が使っているメスティンがアルマイト加工されたものなのかをチェックしてみてください。
※アルマイト加工が剥がれるくらい使い込んだメスティンならシーズニングを推奨します。
※金属製のたわしで擦るとアルマイト加工が剥がれてしまうので注意してください。
メスティンのシーズニングはアルミの表面に酸化皮膜を作ります。油でコーティングする鋳鉄製のスキレットなどのシーズニングとは違い、使うのは“米の研ぎ汁”。それでは簡単に5ステップで紹介します!
・メスティン
・鍋(メスティンが入る大きさ)
・コンロ(自宅のコンロでも可)
・米の研ぎ汁
・トング
・スポンジ
メスティンのハンドルを外します。ゴムの取手を一緒に煮てしまうと劣化の原因になるので、必ずハンドルを外しましょう。
中性洗剤をつけて汚れを洗い流しましょう。新品でも出荷時に汚れていることもあるので同様に洗ってください。
鍋に米の研ぎ汁とメスティンを入れて、中火にかけます。メスティン全体が浸るようにしてください。冷たいとぎ汁からメスティンを煮ていくことで急激な温度変化による変形を防げます。
沸騰したら弱火にして、15分程度そのまま煮ます。
メスティンをお米の研ぎ汁から取り出し、冷めてから水とスポンジで軽く洗い流します。流水で急速に冷えると変形してしまうことがあるので、自然に冷めるのを待ちましょう。また、酸化皮膜が落ちてしまうので洗剤は使わないでください。
〈米の研ぎ汁以外の方法に関して〉 米の研ぎ汁を野菜のクズ煮に変えても同じように酸化皮膜を形成する効果を期待できると言われています。ただ、どの野菜が効果的なのか不明なのでメスティンのシーズニングは米の研ぎ汁で行うのがよいでしょう。 |
こちらのYouTubeチャンネル「ソトレシピTV」でもメスティンのシーズニング方法を解説していますので、参考にしてください!
また、メスティンを使いやすくする下準備はシーズニングの他に「バリ取り」という工程があります。
詳しく知りたい方は「【動画付】誰でもできる!メスティンのバリ取りを4ステップで解説!」をご覧ください。
メスティンをシーズニングすると酸化皮膜で表面が覆われ、うっすらと白い膜ができます。こうすることで次の3つの効果を期待できると言われているんです。
・焦げが剥がれやすくなる
・アルミの臭いが緩和される
・酸化による黒ずみを防止する
果たして、どのくらいの効果があるのでしょうか。「シーズニングしたメスティン」と「シーズニングしていないメスティン(新品)」で、「焦げ・臭い」の具合を実際に比較して検証してみたのでレポートします。
実際にお米を炊いてみると、全然違う結果に。今回はあえて火を強めに炊いたのですが、シーズニングしていないメスティンは派手に焦げ付いているのに対して、シーズニングしたメスティンはいい感じのおこげ具合です。
▼焦げはシーズニング済の方が剥がれやすい
底の焦げのこびりつきはシーズニングしたほうはするりと剥がれましたが、シーズニングしていないほうは焦げついてしまってカチカチになってしまいました。
▼味はシーズニングしていないメスティンのほうが焦げ臭い
味はふたつとも美味しく炊けていましたが、シーズニングしていないほうがやや焦げ臭い仕上がりです。そこに黒くこびりついた焦げの臭いが全体に染みついている感じです。
▼アルミ臭は両方とも気にならない
アルミ臭は両方ともしませんでした。おそらくアルミ臭は敏感な方は感じる個人差があるものなのでしょう。筆者はまったく気になりませんでした。
メスティンは便利なアイテムで、フタをフライパンのように使って炒め物ができます。今回はあえて焦げやすいように油をひかずにベーコンを焼いてみることに。
▼多少シーズニング済のほうが焦げが剥がれやすい
ベーコンを焼くと両方とも焦げついてしまいました。そこまで大きな差はでなかったのですが、シーズニングしたメスティンのほうが、多少焦げが剥がれやすい印象です。
▼乱暴な使い方ではシーズニングの効果はない
油をひかずに強火で炒めるなど、乱暴な使い方をしてしまうと、いくらシーズニングをしていても焦げついてしまうことがわかりました。油を引いて弱〜中火で焦げないように調理しましょう。
こちらのYouTubeチャンネル「ソトレシピTV」では、動画でシーズニングの効果を検証しています。気になる方はチェックしてみてください。
酸化皮膜が剥がれてしまわないように以下の4つポイントに注意しましょう。
金属製のたわしで擦ると、シーズニングで作った膜を剥がしてしまい効果がなくなってしまいます。また、細かな傷がついて焦げや汚れが落ちにくくなる原因になります。ナイロン製などキズをつけないスポンジを使いましょう。
洗剤を使うとシーズニングで作った膜も一緒に洗い流されてしまいます。汚れは水につけてふやかしてからナイロン製などキズをつけないスポンジで落としてください。
過剰な強火での炊飯など、いくらシーズニングをしていても焦げつきは起こります。正しい調理方法を心がけましょう。実は炊飯やラーメンを作るだけでも酸化皮膜はできます。うまく使えば、シーズニング効果の維持にも。
シーズニングは使用のたびに繰り返す必要はありません。効果が弱まってきたなと感じたタイミングで行いましょう。
本章でメリットとデメリットを簡単にまとめますので、みなさんがやるかやらないかの参考にしてください。
・炊飯の焦げがこびりつきにくい
・炒め物も多少焦げが落としやすくなる(焦げないわけではない)
・育てている感があり愛着が湧く
・シーズニングが面倒
・洗剤で洗えない(衛生的にちょっと気になる)
劇的な効果はありませんが、シーズニングすると多少焦げ対策になっているように感じました。デメリットもそこまでなく、やっておくことにこしたことはないので、編集部として工程が面倒と感じなければ、シーズニングを推奨します。
シーズニングは面倒だけれど、焦げ付きは防止したいなと思った方は、加工を検討してみてください。フライパンなどで使われているフッ素樹脂コーティング(テフロン加工)やセラミックコーティング、ノンスティック加工をメスティンに施すことで解決できます。
家庭用のフライパンでお馴染みのテフロン加工ことフッ素樹脂コーティング(テフロン加工はアメリカのデュポン社の商標名)。これをメスティンに施すキャンパーもいます。
焦げやアルミ臭、酸化の黒ずみを劇的に防ぎますが、高熱でコーティングする影響でメスティンが柔らかくなり(焼きなましという現象)変形しやすくなってしまうことがあります。そのため、内側をフッ素樹脂コーティングする場合、外側をセラミックコーティングして強度を保つ加工をしている方が多いです。
■価格相場※トランギア社製レギュラーサイズ
本体内側フッ素樹脂コーティング:1,500〜2,000円
本体外側セラミックコーティング:1,500〜2,000円
フタ内側フッ素樹脂コーティング:1,500〜2,000円
フタ外側セラミックコーティング:1,500〜2,500円
送料:地域により変動
■参考業者:睦美化成
メスティンのフッ素樹脂コーティングやセラミックコーティングをご検討の方は業者に相談してみましょう。ソトレシピ 編集部では「睦美化成」様に依頼して加工してもらいました。新品のメスティンを睦美化成様にお送りし、加工して戻してもらう流れです。
セラミックと樹脂を複合したノンスティック加工。フッ素樹脂コーティングに比べて焼きなましが起こりにくく、内側だけ加工が施されたメスティンで焦げ付き防止には十分な力を発揮します。加工されたメスティンが販売されています。
■価格相場 ※2020年12月現在
Milicampレギュラーサイズ:5,390円(税込)
Milicampラージサイズ:7,920円(税込)
■参考業者:快速旅団
こだわりのアウトドアギアを販売している「快速旅団」様。メスティンをノンスティック加工したものを販売しています。気になる方はWEBサイトでチェックしてみてください。
出典:Amazon
なかには市販の「フッ素革命」を使ってDIYでフッ素加工をする方も。業者とは違いフッ素を吹き付けて膜をつくるような簡易的なもので、フッ素樹脂加工やノンスティック加工のような効果はありませんが、米の研ぎ汁によるシーズニングと同程度の効果は期待できます。
■価格相場:7,000〜10,000円
最後にこの記事のポイントをまとめます。
・メスティンのシーズニングは必須ではなく推奨
・アルマイト加工済みのものはシーズニング不要
・シーズニングの効果は劇的ではないが意味はある
・シーズニングが不要になる加工もある
検証の結果、メスティンのシーズニングは決して劇的な効果をもたらすものではないことがわかりましたが、無意味なものではありませんでした!シーズニングや料理をする中でちょっとずつ馴染んでいき、使いやすくなっていくようです。みなさんもこの記事を参考に自分だけのメスティンを育ててみませんか。
メスティンに関してもっと詳しく知りたい方は「【メスティンとは】下準備、使い方、裏技、お手入れまで完全ガイド」もご覧ください。