【2021年版】緊急事態宣言発出から1年、ソトレシピ総研『キャンプトレンド調査2021』発表!コロナ禍で進んだ「アウトドアのインドア化」、2021年は“ソトナカ消費”がキーワード
毎年春に発表している「ソトレシピ総研」の「キャンプトレンド調査」。昨年、新型コロナウイルスの影響で「密ではないレジャー」としてキャンプがブームとなりました。昨年4月に初めて緊急事態宣言が発令されてから今月で丸1年。今回の「キャンプトレンド調査2021」では、キャンパー400名を対象として、コロナ禍でのキャンプの楽しみ方を中心に、2021年のキャンプ市場のトレンドをリサーチいたしました。
「ソトレシピ総研」とは
キャンプ料理レシピサイトである「ソトレシピ(https://sotorecipe.com/)」を運営する「ソトレシピ」のリサーチ部門です。今回の調査はコロナ禍の2021年のアウトドア市場トレンドを把握する目的で実施しました。今後も定期的にキャンプ料理市場を中心にアウトドアトレンドに関するリサーチを行い、発表してまいります。
※調査結果を引用される場合は、必ず「ソトレシピ総研『キャンプトレンド調査2021』」とご記載ください。また広告制作物等にご利用の場合はご相談ください。
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今回調査を行った400人に「キャンプ歴」を聞くと、約3割が「1年未満」と回答しており、2020年のコロナ禍にキャンプを初めた人が多いということが数字で明らかになりました。
CONTENTS目次
1.“ポストコロナ”でも続く!キャンプは「三密」を避けたレジャーとして定着
「コロナ禍でキャンプを初めた理由、あるいは頻度が増えた理由」を聞く質問に対して、「三密を避けたレジャーであるから」が72.4%で最多となり、一方で「コロナは関係ない」と回答した人はわずか4.7%と最も少ない結果となりました。このことから、2020年のキャンプ実施状況にはコロナ禍が大きく影響していることが改めて明らかとなりました。
さらに、「コロナ疲れを癒やしたかったから」「外出自粛で在宅が続き、外で過ごしたくなったから」がそれぞれ44.9%と、コロナウイルスによるストレス解消を目的とする回答も続きました。
また、同様に44.9%が「公共交通機関を使わない旅行だから(自動車で移動するから)」と回答しており、出発・移動・滞在の全ての行程で、キャンプがコロナのリスクを避けながら過ごせるレジャーとして広く認知がされていることが分かります。
「コロナが収束した後も、キャンプを続けたいか」という質問に対しては、74%が「はい」と回答しており、コロナ禍による一過性のブームではなく、コロナ収束後の“ポストコロナ時代”に移行しても定着したレジャーとして楽しまれる可能性は高いと予想されます。
2.「ローカルネイチャー」な場所で“日常化”するキャンプ
「コロナ禍でのキャンプ場選びについて」という質問への回答としては、「自宅から近いキャンプ場を選ぶ」が48.5%、 「より自然に近い状態のキャンプ場を選ぶ」が47.8%と続き、コロナ禍でキャンプを初めたビギナーも、キャンプ歴10年以上のベテランも同じ結果となりました。
一方で、「高規格なキャンプ場を選ぶ」は17.3%、「自宅から遠いキャンプ場を選ぶ」は13.3%と少なかったことから、居住地から近い地元(ローカル)の中でも自然豊かな環境で、日常的にキャンプを楽しむ傾向が強くなっていると考えられます。「グランピング」のブームは一過性のものだったと言えるでしょう。
これは、コロナ禍での遠方への移動自粛ムードや「三密を避ける」という意向が影響していると考えられます。その結果、日常から遠く離れ、不自由なくデザインされた自然の中に滞在する、非日常的なキャンプスタイルから、日常生活圏に近く、過度に加工されていない自然(ローカルネイチャー)の中でキャンプを楽しむスタイルやニーズが生まれてきていることを表していると言えます。
3.2人に1人が経験している“おうちキャンプ”の正体は「アウトドアのインドア化」
コロナ禍で話題になった“おうちキャンプ”に関して、「おうちキャンプ(自宅でキャンプ料理を楽しむ、庭やベランダでキャンプ道具を使う等)を行ったことはあるか」という質問には、約2人に1人が「行ったことがある」と回答しました。
また、「おうちキャンプの楽しみ方」としては、「キャンプ用の調理器具を使い、自宅でキャンプ料理を楽しむ」が33%と最多となり、普段と違う器具を使うことが、調理自体を楽しむことにつながっていると言えます。
結果として、おうちで「キャンプ料理を楽しむ」という内容の回答が54%と半数を超える結果となっており、“おうちキャンプ”=自宅で「キャンプ料理を楽しむこと」である場合が多いことが分かります。
さらに、「おうちキャンプを楽しむときに最も活用するキャンプ道具」に関する質問でも「調理系キャンプ道具」と回答した人が56.9%と最も多い結果となり、キャンプの楽しみ方の象徴として“食”という要素が最も重要だと考える人が多いということが分かります。
コロナ禍のトレンドとして「アウトドアのインドア化」が進む中でも、キャンプの体験価値を高めるヒントは“食”にあると言えそうです。
4.2021年も続くキャンプ消費のキーワードは「ソトナカ消費」
「今後さらにキャンプを楽しむため」にしたいことを聞く質問では、「キャンプ道具のアイテム数を増やしていきたい」が36.8%と最も多い回答となり、次に「料理が上手になりたい」が36.3%と続きました。キャンプユーザーの道具消費意欲と、食体験を豊かにすることへの関心が高いことから、今後もこの領域の消費が伸びると予想されます。
さらに、「キャンプ道具選びで重視する要素」について聞く質問には、「マルチに使える万能性」が58.3%と最も多く、次に「自宅で使える(アウトドアを想定しているが、自宅でも使いたくなる)」が37.5%と続きました。
上位2つの回答から、キャンプ道具を購入する際に、キャンプを行うときだけではなく日常的に使用できるかという視点で考える人が多いということが分かります。
キャンプ場でしか使えない、あるいは特定のことにしか使えないなど使用頻度が限定的な商品よりも、アウトドア(キャンプ場)からインドア(家庭内)まで幅広く活用機会があり、日常使いをするにあたっても問題なく使用できる「ソトナカ消費」がポストコロナ時代にも注目されるトレンドになっていくと考えられます。
今回の調査結果を受けて:所長のコメント
ソトレシピ総合研究所 所長 濵﨑航太郎
大学卒業後、国内最大手のPR会社に入社。戦略PRプランニングに従事した後、大手SNSマーケティング会社でマーケティングプランナーを経て現職。多種多様な企業・自治体のコミュニケーション課題に対してリサーチの立案からソリューションまでのマーケティング施策をプロデュース。リサーチ経験を趣味のキャンプに活かすべく、2021年ソトレシピ総合研究所所長に就任。北海道マーケティング協会「デジタルマーケティング実践講座」講師。受賞歴に「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」「SSFF & ASIA『BRANDED SHORTS』」「Brain Online Video Award(BOVA)」「GOOD DESIGN AWORD 2020」。
2020年に世界を襲ったコロナウイルスは、キャンプ市場にもニューノーマルをもたらしました。「キャンプ」というレジャーが本来持っていた“三密がない”ことと時代のニーズが一致し、キャンプはまたひとつ多くの人々に楽しまれる機会を得ました。
その流れを受けた新たな波が「アウトドアのインドア化」です。コロナ禍において、キャンプ愛好者たちが自然発生的に“おうちキャンプ”を楽しみ始めたことは、その予兆として象徴的な行動でした。
「非日常の楽しみを、日常でも味わいたい」という変化が生まれたことは、これまで非日常的で特別なイベント・時間として捉えられていたキャンプが、日常にあっても違和感がない、むしろ日常的に触れていたいものとなり、ライフスタイルとして受け入れられていることを意味しています。
2021年の調査は、その鍵となる要素が「食」であり、“アウトドアとインドア”、“非日常と日常”の架け橋が「食」にあるということを示唆する結果となりました。2021年はリモートワークの浸透によって、キャンプはむしろ混雑する土日を避けて、人の少ない平日に静かに楽しむものになるかもしれません。また、ネットでトップに表示される人気キャンプ場は一層予約が取りにくくなることから、穴場キャンプ場を探し求める人々の交流が盛んになり、さらにSNSでキャンパーとキャンパーの情報交換が盛んになっていくのではないかと感じています。キャンプが新しい日本のカルチャーとしてさらに醸成されていくそんな1年になっていくと考えています。