アウトドア編集者に聞く安全に冬キャンプを楽しむために気をつけたい4つのこと
ソトレシピでは誰もが冬でも安全で、楽しく、暖かく過ごすことができる冬キャンプを推進するために、「ふゆキャン」プロジェクトを2022年10月に始動しました。
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今回は冬キャンプでどんなことに注意すべきか、気をつけるべきポイントを紹介していきます。対策すべきポイントをおさえておけば、冬だって十分キャンプを楽しめる季節となるはずです。
1. キャンプ場までの移動に気をつける
キャンプでの過ごし方以前に、キャンプ場への道のりの状態を確認しましょう。自然豊かな山奥にあることの多いキャンプ場ですから、冬は降雪も多く朝晩には道路も凍結していることもしばしば。山道は勾配も多く、オールシーズンタイヤでは走破できないこともあるため、しっかりとチェーンや冬タイヤで対策する必要があります。
対策をとっていても山道は困難で危険です。前日の天候や気温などにも多いに影響を受けるため、事前にキャンプ場のスタッフに現地周辺の状況を確認するようにしましょう。不安な人は、冬は標高の低い平地のキャンプ場を選ぶといいでしょう。
2.防寒対策を軽んじない
冬のキャンプ地の寒さを侮ってはいけません。標高が100メートル変わると、気温が0.6度寒くなると言われています。天気予報で現地の気温を確認したつもりでも、キャンプ場の気温はさらに低いと予想されます。路面状態とあわせて、キャンプ場のスタッフに気温についても確認をとりましょう。
確認したとしても、天候、それこそ選んだキャンプサイトの日当たりや、風向きなどによって体感温度も異なります。日が暮れてから重ね着ができるよう、防寒着は複数持ち込むようにしましょう。肌着も保温性の高い機能のあるものを上下着込むことをおすすめします。
「底冷え」の文字通り、屋外にいると足の底、まさに地面からの冷気でボディーブローのように体が冷えます。防寒着同様、靴も防寒対策が施されているものがあるといいでしょう。靴下用のカイロなどを活用するのも、よい対策となります。
寝袋も同様、冬用のモデルが理想。ただ、寝袋はハイスペックなものほど高価なものが多く、数回の冬キャンプのために購入するのはお財布にとっても痛手です。その場合、スリーシーズン対応の寝袋の中で使うインナーシュラフや、防水透湿機能のあるシュラフカバーなどを重ねて使うことで保温効果を高めることができます。冬用寝袋に比べたら安価で購入できます。
ただし、それでも万全な対策とはいえません。キャンプ場での夜から明け方は、気温がマイナス5〜10度になることも。衣類も着込んで、寝袋の機能を最大限発揮させましょう。
防寒対策のポイントは気温変化への対応、地面からの冷気、もっとも寒くなる就寝時の3つです。とにかく、あの手この手で防寒対策する必要があります。記事の最後でもおすすめの防寒対策グッズを紹介しているので、参考にしてみてください。
3.寒暖差による結露に注意する
冬は大型テントやシェルターを使い、室内で過ごすというキャンパーも多いでしょう。風の影響も受けにくく、寒い冬でも暖かく過ごせるスタイルです。しかし、気をつけたいのは結露です。呼気により湿度が高くなり、外気温との温度差が高くなってくると、テント内に結露が発生します。
テント内が結露すると、朝にはテント表面が凍結していることもあり、撤収までに乾かすのが難しく、雨に降られたわけでもないのに濡れたテントを持ち帰ることに……。また、寝ている間に寝袋がテントの内側に接すると、寝袋が濡れた重みでしぼんでしまい、本来の暖かさを失って夜中に寒さで目覚めてしまうことも。
濡れてしまってから気づいても、すぐに乾燥させることはできないので、日が出るまで凍えて過ごすことになってしまいます。2.の防寒対策でも紹介しましたが、防水透湿機能のあるシュラフカバーがあれば、保温効果を高めるだけでなく結露から寝袋を守ことができます。
また、テント外に放置していた荷物なども、空気中の水分が凍ることで霜が下りたような状態になります。濡らしたくない荷物はテントやタープ下に入れておくなどしないと、チェックアウト時間までに乾かすのが大変。冬は日の出の時間も遅いため、完全乾燥させてから撤収したい場合は、レイトチェックアウトを申し込むのも手です。連泊でのキャンプでは、薪など焚き火で使うものも放置しないようにしましょう。
4.火の扱いに注意する
冬キャンプの焚き火は醍醐味ではありますし、暖かさを確保する意味でも欠かせません。しかし、冬は乾燥していますから、周囲にある落ち葉も含めて燃えやすい環境下火を焚くことになります。火事を起こさないように細心の注意が必要です。
焚き火をするときは、焚き火台の周辺2メートルほどにある枯れ葉などを事前に除けて、風で火の粉が待って延焼するような事態を防ぎます。テントやタープとも2~3メートルほど離れた場所で行うのが理想です。バケツやタンクに水が汲んでおき、さらに簡易の消火剤などを備えておくとより安心です。
必要に応じて、焚き火台の下に敷く防燃シートなどを使うようにしましょう。また、焚き火をしている最中にサイトを離れるときは、誰かに火を見ておいてもらうように。決して放置してはいけません。
冬の防寒着としてメジャーなダウンウェアは、焚き火の火の粉で穴があいてしまうことも。焚き火のときは、コットンやウールなど燃えにくい素材のアウターを着ていたいものです。
調理のときのバーナー類も火器です。焚き火同様、使用時には周囲に燃えやすいものがないか確認してから着火するようにしましょう。また、ガス缶は気温や気圧が低い環境下では、着火できない、火力が弱いといった「ドロップダウン現象」に見舞われます。
アウトドア用のガス缶の中には寒冷地用のパワーガスがあるので、万一に備えて冬は数本備えておきましょう。ガス缶にカバーをするのも多少なりの火力低下に影響するかも。
また、気温の低い環境下ではガスで弱火を維持することが難しいため、炊飯や長時間煮込むような調理は焚き火に任せて、バーナーでは湯沸かし程度で完結する料理にしておきましょう。ガスストーブも弱火に設定していると、いつの間にか消えているなんてことも。
アウトドア用の薪ストーブや灯油ストーブも暖房器具として優秀ですが、取り扱いに注意。輸入品のテントでは、一部テント内で使う専用の薪ストーブなども売られていますが、日本のテントメーカーの多くは、テント内での薪ストーブの使用を推奨していません。一酸化炭素中毒やテント内火事を引き起こすなどのリスクがあるため、屋外で使うようにしましょう。
5.冬キャンプにおすすめの防寒グッズ
4つの注意すべきポイントに加え、冬キャンプにあると便利な防寒グッズをいくつか紹介します。
保温ボトル
暖かい飲み物をすぐに飲めるよう、お湯をキープしておける保温ボトルは必需品です。調理によってはお湯からスタートすることで、時短にもなりますし、タオルを濡らして温かいおしぼりをつくることも。食後の食器をお湯につけておくだけでも洗い物も短くすみます。
チェアカバー
キャンプ用のチェアは軽量化や通気性をもたせる意味で、背中側がメッシュになっていたり、背中全体を覆っていなかったり。夏はいいのですが、冬は背中から冷えてきてしまいます。焚き火の熱も前からしか受けられないので、チェアカバーがあると背中をカバーできます。
防寒ブーツ
防寒対策でも触れましたが、想像以上に地面からの冷えがこたえるもの。冬用のブーツなどで対策をしましょう。内側がボア生地になっているものや、寒冷地用のブーツもおすすめですが、安価なモデルをオーバーサイズ気味に購入して、靴下を重ね着することでコスパよく対策することもできます。
ダウンパンツ
上着は何重に重ねられても、ボトムは機能性インナーとズボンだけだったりしていませんか? 下半身の冷えにはブランケットなどで対策できますが、インナーの上にダウンパンツを履いて、その上にボトムスを重ねることで保温効果は段違い。中に履けば焚き火の火の粉も怖くありません。
焚き火陣幕
戦国時代の陣幕のようなアイテム。風よけにもなるし、周囲からの目隠しとなってプライベート感も高めてくれます。陣幕を背にして焚き火をすると熱が反射されて、思った以上に暖かさを感じることができます。
カイロ
靴下用を紹介済みですが、やはり低コストで対策できるアイテムとしてカイロは外せません。首や腰など、太い血管のあるところに貼ると効率よく温まります。寝るときに使用したり、肌に直接貼ったりすると、低温やけどになるので注意しましょう。
リフレクター
焚き火は複数人で囲むことで、それぞれが壁となって熱を反射して皆で温まれるものですが、昨今はソロキャンプも増えています。ソロ焚き火は熱を損していることになるため、熱を反射するリフレクターがあるとひとりでもかなり温まれます。
湯たんぽ
低コストでそろえられる湯たんぽは、価格以上の防寒効果を発揮してくれる高コスパアイテム。寝る30分前くらいに寝袋の中に入れておけば、ぬくぬくの状態で眠りにつけます。モバイルバッテリーなども冷えないように一緒に温めておくといいでしょう。ただしバッテリー類は高温にも弱いので、近づけすぎないように。
ちなみに、バッテリーと同様に、スマホやランタンなどの充電式のアイテムも、テーブルの上などに放置しているとバッテリー持ちが悪くなります。
高温にも弱いので、カイロと一緒にポケットに入れておいたり、ストーブで温めたりもできません。スマホは肌に近いポケットの中にしまっておき、ランタン類も使用時までテント内にしまっておくなどが得策でしょう。
さて、いかがでしたでしょうか。対策のためにどうしても荷物が増えてしまう冬キャンプですが、道具を駆使してあの手この手で困難な状況を乗り越えるのもまた楽しいものです。装備不十分だと感じたときは、キャンプ場のスタッフに相談し、空いていればコテージへの変更や、その日は宿泊せずに帰るということも、選択肢に入れておきましょう。