キャンプ芸人・うしろシティ阿諏訪さんのソトごはんを120%楽しむ極意

キャンプ芸人・うしろシティ阿諏訪さんのソトごはんを120%楽しむ極意

2022.2.4

『うしろシティ阿諏訪の簡単&絶品!キャンプ料理』、念願の出版

―アウトドアレシピ本の出版は、阿諏訪さんのかねてからの希望だったそうですね。
阿諏訪:そうなんです。書店でレジャー関連の本を見ていても、「おしゃれだな」とか「凝ってるな」とか憧れる本はたくさんあるんですけど、自分のキャンプに返ってくる感じではないなと思っていて。アウトドア料理の本も、載っているのはだいたい夏の料理。実際のキャンプは季節問わずいつでも楽しめるし、凝りすぎているものより簡単にできるもののほうがみんな嬉しいんじゃないかと思って、春夏秋冬それぞれのメニューを紹介する本を企画しました。本当はまだまだストックがあるんですが、今回はその中から厳選した52レシピを掲載しています。


―料理の腕前がプロ級ということでも有名ですが、料理は昔からお得意なんですか?
阿諏訪: いや、20歳まで包丁も持ったことなかったです(笑)。芸人の仕事の合間に飲食店でアルバイトをしていたときに教わりました。

―では、名店のメニューを次々と再現する「神の舌」は天性のもの…?
阿諏訪: 芸人になりたてでお金がなかったとき、外でラーメンを食べるお金ももったいなかったので、家で好きなラーメン屋の味を再現して友達に食べさせたんです。そしたら「すげー!」ってなって。いま思えば、母は料理がうまかったし、父は釣り好きでよく新鮮な魚を食べさせてくれていたので、自然と舌が鍛えられたのかもしれないですけど、当時は全然意識していなかったですね。

アウトドアに目覚めたきっかけは、22歳のときのBBQ

―キャンプは子どもの頃からよくしていたのですか?
阿諏訪: 全然! むしろインドア派。父がアウトドアやDIYが好きで、末っ子長男の僕は趣味によく付き合わされていたので、「家でゲームしていたいのに…」とうんざりしていました(笑)。アウトドアの楽しさや感動を知ってからは、父は父なりに息子に見せたいものがあったんだなと思うようになりましたけど。
アウトドアに目覚めたのは22歳のとき。近所の公園で友達と初めてBBQをして、暑い中ビールを飲んでごはんを食べる楽しさに衝撃を受けたんです。そこからBBQにハマり、キャンプにもハマり、仲間がいないときはひとりでもキャンプに行くようになりました。

―外で食べるごはんの魅力とは?
阿諏訪: 料理って味ももちろん大事ですけど、「どこで食べるか」というロケーションが同じくらい重要だと思うんです。富士山を見ながら食べる天ぷらも、星空を見ながら飲むコーヒーも、本当に最高。
僕が特に好きなのは冬キャンプです。空気がすごく澄んでいるし、寒い中であたる焚き火のありがたさったら…。みんなでワイワイ鍋をつついたり、ホットウイスキーやコーヒーを飲んだりしながら、体の外からも中からもあったまる感じがいいんですよね。


―仲間と楽しむキャンプとひとりキャンプ、どちらもお好きなんですね。
阿諏訪: そうですね。「火打ち石で火をつけたい」とか、やりたいことが3つくらい溜まっているときは、集中したいのでひとりで行きます(笑)。でもそれ以外は仲間とですね。それぞれ自分の車で現地集合して、自分の道具で好きなようにやりつつ、みんなでごはんやお酒を楽しみます。自然の中で酔っ払うと気持ちもオープンになって、仕事の話とか家族の話とか、都会じゃできないようなアツイ話をよくしていますね。
芸人のヒロシさんも大のキャンプ好きで、数年前から一緒にキャンプをするようになりました。今年のお正月もヒロシさん含めて芸人仲間4人で、沖縄の無人島に3泊してきました。のんびり釣りしたり、漂流物を集めたり、楽しかったですよ。

初心者必見! 阿諏訪流、キャンプのススメ

―「キャンプに興味はあるけどハードルが高い…」と思っている方にアドバイスをお願いします!
阿諏訪: 最初はデイキャンプがおすすめ。泊まるとなるとそのためのキャンプ道具が必要ですが、日帰りなら揃えなくてもいいし荷物もかさばりません。キャンプ場であれば設備も整っているので、特別な知識がなくても気軽に楽しめますよ。
慣れてきたら、自然の中でのキャンプにもぜひチャレンジしてみてください。僕が好きなのは渓流沿い。携帯の電波もないような、名前のない場所を探し出してキャンプするのが好きです。Google Earthでそういう場所を見つけるのが趣味のヤツがいて(笑)、細い林道を進んでみると突然視界がバッと開けて大きい湖が現れたりするわけですよ。そこで迷惑にならないようにキャンプして、落ちていたゴミとかも全部拾ってキレイにして帰る、っていうのが最高に楽しいです。
ちなみに僕がいまハマっているのは「ブッシュクラフト」。必要最小限の道具だけ持参して、あとは自然のものを使って過ごすキャンプスタイルです。落ちている枝で焚き火台を作ったり、火打ち石で火を起こしたり、木を削って食器にしたり…。自然との一体感をより楽しめます!


―料理に関しても独自のノウハウがたくさんあると思いますが、初心者向けにいくつか教えていただけますか?
阿諏訪: 料理は前日に仕込んでおくとすごく楽。フリーザーバッグにコールスローとかを作って入れていくと、テント設営や準備に時間がかかってもすぐに乾杯できるのでおすすめです。
キャンプを始めたばかりの頃は、味つけが単調になりがちでした。荷物をできるだけ少なくするために調味料も1本しか持っていかないんだけど、そうすると全部の料理が焼肉のたれの味になっちゃう(笑)。それに飽きて編み出したのが、刻んだトマト・玉ねぎ・パクチーとタバスコを焼肉のたれに混ぜるサルサ風ソース。肉にも白身魚にも合うので、覚えておくと便利です!

サルサ風ソースを使ったレシピ→ラムチョップ サルサ風ソース

あとは、現地の山菜や野草をぜひ食べてほしいですね。その場で採れなければ、道の駅で新鮮なものを買っていくのもいいと思います。フリーザーバッグに天ぷら粉や水を混ぜて入れておいて、山菜などを浸して油で揚げれば、極上の天ぷらになります。

―ありがちな失敗や、気をつけることがあれば教えてください。
阿諏訪: なんだろう…。仲間と行くと持ち物はしょっちゅうかぶりますね。100円ショップで見つけて「これ使える!」と思った便利グッズとか、この前は6本入りの太いソーセージを全員持ってきてました(笑)。料理でいえば、たくさんのメニューを一気に作ろうとしないこと。レシピを見ているとあれもこれも作りたくなっちゃいますが、ほかの準備に手間取って料理の時間があまり取れないこともあるので、最初は1~2品から始めてみてください。自然の中で料理をしたりごはんを食べたりする心地よさを、ゆっくり楽しんでほしいと思います!

シェフプロフィール

阿諏訪泰義(うしろシティ)
松竹芸能所属、芸歴9年。1983年1月8日生まれ、神奈川県出身。料亭で6年間調理の修行を積む。包丁5本以上、鍋10種類以上、調味料100種類以上を自宅に揃えるほどの料理好き。22歳の頃、キャンプに誘われてソトゴハンの魅力に開眼。好きなアウトドアスタイルはブッシュクラフト。「あのニュースで得する人損する人」(日本テレビ系) サイゲン大介として出演。「キングオブコント」過去3回決勝進出。TBSラジオ「うしろシティ星のギガボディ」毎週水曜放送中。


タイトル:うしろシティ阿諏訪の 簡単&絶品!キャンプ料理
発行:ぴあ株式会社 発売日:2018 年4 月11 日 定価:1200円(税別) A5 判 112 ページ
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WRITER PROFILEライタープロフィール

三橋温子
札幌市出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒。人材サービス会社制作部での取材・ライティング経験を活かし、デザインもできるフリーライターとして2013年独立。アート、ファッション、カルチャー、ビジネスなど分野問わず執筆中。フェス&旅などソトアソビ好き。

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